顎関節症治療ガイド|東京都町田市の吉見歯科医院監修

院長コラム2「歯を残すために考えておきたいこと」

歯を残すため考えておきたいこと

水面に落ちたものが原因ならば、その周りに飛び散っている水滴を見て最初の一滴はどこから来たのかを掴まなければいけません。これは歯の健康も同じで、根本的な部分を見失っていることに他ならないのです。ではどこをどう分解していけばいいのでしょうか。一枚のレントゲン写真を見るのにもどう見ていったらいいのかわかりませんね。私は3つの切り口を見つけました。

メカニカルフォース(噛む力)

実は、噛む力は朝と夜で変化します。どちらが強いかというと夜のほうが強い傾向にあります。ただし常に強いかというとそうではなく、3日に一度くらい100%を超える力(200~300%になることもあります)で咬んで100kg以上の力がかかることもある程度です。しかし、毎日ではなくても継続的に起きていれば歯がどんどん削れていってしまいます。ですから、まずは噛む力を減少させないといけません。

バクテリア
  • 歯周病菌

歯周病を発生させる最大の原因です。歯周病菌は虫歯菌のように糖分を栄養(エサ)とせず、免疫自体をエサにしています。歯周病菌は虫歯菌のように糖分を餌としないのです。歯周病菌の餌は、たんぱく質です。歯肉溝滲出液に含まれる免疫を構成する要素は、実はたんぱく質そのものなので、彼らはそれを餌にしてます。それと、歯周ポケット内から、剥がれ落ちる細胞のカスを食べているのです。

しかも、彼らは空気のないところ(偏性嫌気性環境)が大好きです。歯周ポケットの底で息をこらして、下から滲み出てくる液を吸いながら、上から落ちてくる屑を食べて生きている。しかし、彼らの大嫌いなものがあります。酸と空気です。ブラッシングをたくさんすると、歯肉の溝の中に空気が送りこまれ彼らが生活できない環境ができるのです。従って、ブラッシングすると歯周病が治るということは真実なのです。しかしここに、前記の強い力が加わると歯周病菌の毒素との共同破壊層が出来上がり大変に困難な状況が発生します。 少量の細菌にもかかわらず毒素の為害性が強く影響するのです。従って、歯周病の治療は、(歯ぎしりの力の減少)+(歯周病菌の減少)=治癒と、いうことがいえるでしょう。

  • 酸産生菌

酸産生菌=虫歯菌です。皆さんご存じの通り、糖分たっぷりの甘い物を摂ると虫歯が発生しやすくなります。酸産生菌を代表としてストレプトコッカスミュータンス菌とラクトバチラス菌という細菌が単糖を食べて代謝・分泌した酸によって歯を溶かす。これが虫歯の正体です。ですから酸が口腔内にある時間が長いほど、虫歯になりやすいといえます。極端な話、甘い物を一日中口の中に入れておけば虫歯になります。

また、食事と食事の間には食事中に溶けだした歯が再石灰化する(回復する)時間帯があります。そしてこの溶ける・再石灰化するバランスが大事です。ブラッシングをしても虫歯になるのは、そのバランスが崩れている証拠です。食後すぐに歯を磨けば効果的だと思われがちですが、本当にそうでしょうか? 実際は、食後は口の中が酸性の状態なので強く歯を磨こうとしようものなら歯が削れてしまうこともあるのです。

また、私たちは、間違った健康の常識を信じて不健康になっていることが多くあります。患者さんは「ちゃんと食後に歯を磨いています。でもなぜだか虫歯になるんです」とおっしゃいます。誤った常識を一所懸命に信じても、虫歯の予防にはならないということなのです。

エイジング

エイジングとは、細胞の数が増減する減少を指します。ある時期を境に増加が止まり、その後は減っていく一方だといわれています。歯科医院では、そのエイジングする成長曲線から外れないようにすることができます。成長のピークに達するようにお手伝いすることができるのです。

顎関節に問題を抱える方の大半は、顎の未発達により顎関節が下がっています。中には小学生のうちに顎関節症になっている人がいます。幼少の時期から咬合育成を行って、顎の成長・発育を促さなければいけません。

顎の正しい発育を考えると抜歯は非常にナンセンスなことです。歯並びが悪いからといって抜歯するとエイジングの曲線から外れて細胞数が減少します。これは、つまり年を取らせていることと同じことです。細胞数を増やしてあげなければいけないのに、減少する方向に持っていってしまう。短くなっている関節を伸ばしてあげるには、歯並びをしっかり矯正して顎がうしろに下がっているのを前側に出してあげるような噛み合わせに導いていけばいい(ただし、親知らずは抜歯したほうが良いと思います)。そうすればあっという間に良い噛み合わせ、良い顔つきになるのです。

歯ぎしりの存在する意義

歯ぎしりは何のためにするかわかりますか? 実は歯ぎしりの存在意義はメンタルストレスの解放です。人間は理性ではストレスを感じていなくても本能でストレスを溜めてしまいます。理性のない動物はメンタルストレスを抱え込まずに歯ぎしりもしませんが、人間は理性を持っているからメンタルストレスが溜まっていきます(たとえば、収容所に収監されるなど孤独感が強いと歯ぎしりする人が増えるそうです)。

そこでメンタルストレスを解放する必要がでてきます。その解放する道筋が歯ぎしりなのです。理性を持つ人間だからこそ歯ぎしりをするのです。しかし、もの凄い勢いで歯ぎしりをすると歯と歯茎が疲労しきってしまいます。筋トレ後の筋肉痛のような感じで骨も疲労してしまいます。

理性脳とストレスについて

歯ぎしりでストレスマネージメントが安定する?

脳の代謝を一定にするために歯ぎしりが必要であるという仮説があります。最先端の実験では自律神経と絡めて実験を行っていますが、歯ぎしりをすることによって脳内のストレス性物質が解放されることが証明されています。

歯ぎしりによって脳の代謝が安定すれば自律神経の協調性が上手くいき、メンタルストレスがから解放され、深い睡眠を取れるようになります。そして余計な情報が頭の中から消え、必要なデータだけが残されて整理されます。すると、体をコントロールするために使われていたCPUを意識的にコントロールできるようになり、効率よく頭を使えるようになってきますし、歯ぎしりを通じてメンタルストレスから解放されることで、脳が効率的に使えるようになり仕事に集中することができます。

次に歯ぎしりが心配な人とそうでない人の違いですが、真面目で寡黙なタイプの方は歯ぎしりのリスクが高いです。よくしゃべったり、お酒を飲んで暴れるようなタイプの方はストレスを発散できているのでそれほど心配はありません。

そういうことができない人たちは脳がストレスを解放したがっているから、歯ぎしりで安全にメンタルストレスを解放しているというわけです。すごいシステムですよね。動物実験ではメンタルストレスの解放は完全に証明され、人間でもそういったデータを大学では5年くらい前から取っています。

歯ぎしりの症例紹介

症例①


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歯ぎしりを続けて歯がすり減っているのがよくわかります。すり減って上顎と下顎の間に空間ができています。

症例②


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歯ぎしりによる噛む力の圧迫で神経が露出しています。食事はもちろん空気が当たるだけでも染みる状態です。

症例③


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ブラックスチェッカーで歯ぎしりの度合いを調べたものです。左が歯ぎしりの改善前で右が改善後です。明らかに歯ぎしりが少なくなっていることがわかります。

  • 顎関節症が生活におよぼす影響
  • 歯を残すため考えておきたいこと
  • 包括的な治療の重要性

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